私は昔からハムカツが好きです。
子どもの頃、お肉屋さんの店先で揚げられていたハムカツはちょっとしたごちそうでした。決して高級な食べ物ではないのですが、サクサクの衣とハムの塩気の組み合わせが何とも言えず、ソースをたっぷりかけて食べるのが楽しみだった記憶があります。
ところが、大人になってから振り返ると、不思議なことにハムカツを見かける機会があまりなかったように思います。
昭和の終わり頃から平成の終わり頃までの長い期間、少なくとも私の周囲では、コロッケやメンチカツ、とんかつはよく見かけても、ハムカツはあまり主役になっていませんでした。
もちろん全く無くなったわけではありません。居酒屋のメニューに載っていたり、お惣菜売り場の片隅に並んでいたりすることはありました。しかし、どちらかといえば脇役の存在だったように感じます。
ところが最近になって、再びハムカツをよく見かけるようになりました。
スーパーの惣菜コーナーはもちろん、肉屋さん、定食屋さん、居酒屋さんなど、さまざまな場所で目にします。
しかも一口にハムカツといっても実に種類が豊富です。
昔ながらの薄いハムを使ったものもあれば、まるでハムステーキのような厚切りタイプもあります。薄いハムカツは衣とソースを楽しむ懐かしい味わいがありますし、厚切りタイプはハムそのものの旨味をしっかり感じられて食べ応えがあります。
どちらが良いというものではなく、それぞれに魅力があります。
肉屋さんのハムカツは揚げたての美味しさがありますし、居酒屋で出てくるハムカツにはどこか懐かしい雰囲気があります。特に厚切りのハムカツが登場すると、昔のハムカツのイメージとは違う豪華さがあって思わず注文してしまいます。
なぜ最近になって再び人気が出てきたのかは分かりません。
昭和レトロブームの影響なのかもしれませんし、昔ながらの洋食や大衆酒場文化が見直されていることも関係しているのかもしれません。
ただ、食べる側としては理由はどうあれ歓迎です。
ハムカツという食べ物には、不思議と肩肘張らない良さがあります。高級な料理ではありませんが、気軽に食べられて満足感があります。そしてどこか子どもの頃の記憶を呼び起こしてくれる力があります。
最近では店ごとに個性もあり、「今日はどんなハムカツだろう」と思いながら注文するのも楽しみの一つになりました。
昔から好きだった食べ物が、再び身近な存在になっているのを見ると少しうれしくなります。
これからも薄い昔ながらのハムカツも、分厚く豪快なハムカツも、それぞれ楽しみながら味わっていきたいと思っています。

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